マフィア松
『オリジナルなきコピーたち』
シュミラークル・リーインカーネーション
『誰が為に弾は跳ぶ』
・マツーノファミリー
小規模な縄張りをもつ約百年の歴史のファミリー。
アカツカーノ地域密着のファミリー。
アカツカーノの自警団が元々の発祥。
縄張りは小規模であるが、地下カジノや交通の要所、流通の要所であることから他のファミリーからは常にねらわれている。
覚醒剤などのドラッグは先々代の時代からシャットアウトしている。
先代の松代の命で、おそ松の代もドラッグは全面禁止。
金になるならいいのでは、とおそ松は思っているが、母の命令であることと、地域密着型のファミリーで地域の支援を受けられなくなるデメリットを考慮していまのところは禁止。
・アカツカーノ地区
南イタリアの山に囲まれた海辺の町。元々はアカツカーノ王国として都市国家として独立していた。
古くから海上及び運路交通の要所として栄え、町並みは歴史的な雰囲気を残しており、それに加えて近代開発が行われたため、奇妙に入り組んだ路地が多い。一区画には、小規模ながら歓楽街がある。山を越えればすぐにナポリやローマに行ける便利な町。
アーモンドの花のきれいな岬がある。地中海の海は青く透きとおって美しく、松の並木のある湾岸は中世からの名所。
産業は現在は、旧街道の観光による第三次産業と裏カジノがメインで、第一次産業、第二次産業も盛ん。
海上交通の歴史から、マツーノファミリーは麻薬と生物以外の密輸品の密輸も行っている。
・ピーニャ
正式には「セーノ・ディ・ピーニャ(六つの松笠)」
マツーノファミリーの伝統的な筆頭幹部の役名。
ロッソ、アッズーロ、ヴェルデ、ヴィオラ、ジャッロ、ローゼオの六つの席がある。
ボスを守る壁であり、ファミリーの槍である六人の大幹部のこと。
幹部の証としてそれぞれを象徴するシンボルが継承されており、それを現在の幹部から継承されるか、力づくで奪えば幹部として承認される。
ただし正式なピーニャとなるためには、ピーニャのシンボルをもつだけでんあく、継承儀式を経ないとならない。
その儀式で伝えられるのは、組織での役割と忠誠であり、それぞれの色で異なると言われる。
・役割
ロッソ:ボスの右腕であり、ピーニャの松明。「ファッリャ」
アッズーロ:ファミリーの攻撃の核を担う。ピーニャの槍。「フィウマーラ」
ヴェルデ:ファミリーを支える影を担う。ピーニャの足。「アルベロ」
ヴィオラ:ファミリーを支える陰を担う。ピーニャの根。「オンブラ」
ジャッロ:ファミリーの守護の要を担う。ピーニャの盾。「フルグラーレ」
ローゼオ:ファミリーと外を繋ぐ役目を担う。ピーニャの目。「ファルソ」
※「セーノ・ディ・ピーニャは一つ欠けても替えがいる」
※「コーノ・ディ・コミフェーレ」
※カラ松:ラリーチェ
マツーノ・ファミリーの関係者
・おそ松
地位:マツーノⅥ世かつピーニャ・ロッソ
肩書:「マツーノ・セスト」「ピーニャ・ロッソ」「ファッリャ」
使用武器:銃
マツーノの六つ子の長男にして、マツーノの六代目であり、ピーニャ・ロッソを兼任する。幹部とボスを兼任したのは初代以来二回目。
ボスの証であるペンダントと、ロッソの証であるルビーのついた指輪をつけている。
組織を導く「ファッリャ」としてあり続けることを重荷とは思ってはいないが、時々疲れはする。
自分が六つ子の一人であることと、ピーニャを従えるボスであることはおそ松のなかでは同じこと。しかし、兄弟の情には厚く弟たちを守ろうとする本能がある。その為、絶対にピーニャを切り捨てることができない。そして、ボスとして切り捨ててはならない。
基本的な戦闘技能と戦闘のセンスは六つ子の中でもっとも高く、幹部の中でも対人格闘では一番。しかしそれぞれ相性や得手不得手があるため、弟の領分に持ち込まれると勝てない場合も多い。たとえば、一松相手に武器を使う勝負を仕掛ければ負けるし、カラ松相手に銃撃戦を仕掛ければ負けるといった風に。
ファミリーを傷つける者には容赦をしない冷徹さと、ギャングらしいクズさ、外道の要素は満点。
そして何より、我を貫いていくカリスマ性と、ファミリー一人一人を見渡す視界の広さ、人脈の作り方、人の本質を見抜く直感と、運が強い。
ボスの証は松の意匠が刻まれたペンダント。意味は統率。
先代ボス、松代の指名でボスになった。
同時に、先代のロッソから継承したシンボルは、ルビーの埋め込まれたリング。唯一、武器を継承しないのがロッソであり、意味は服従。
ただしボスがロッソの場合、リングの意味は、自覚と自制。
六代目の継承式にて、弟たちの忠誠を受けた。自分の前にひざまづき頭を垂れる弟たちに受けた衝撃はおそ松のボスとしての自覚を促した。
普段は家で怠けているので、近所の人からはニートだと思われている。
「セーノ・ディ・ピーニャのヴェルデ。我らがボスに絶対の忠誠を捧げることを我が名誉と誇りにかけてここに誓う」
「同じくアッズーロ。ボスに永久の忠誠を捧げ、ファミリーの矛となることを、我が名と栄誉にかけてここに誓う」
「同じくヴィオラ。ボスに永久の忠誠と、我が名誉を捧げ、ファミリーの影となることを、我が命にかけてここに誓う」
「おなじくジャッロ。ボスに絶対の忠誠を捧げ、我が命にかけてファミリーの盾となることを誓います」
「同じくローゼオ。ボスに永遠の忠誠を捧げ、ファミリーの目となることを、我が名と我が死にかけてここに誓う」
五人の幹部が、新たなボスの前にひざまづき、一人づつ忠誠の誓いをたてていく。ほんの一年前までは、自分たちは対等な兄弟だった。おそ松は、干上がった喉を潤すようにねばついた唾を飲み込んだ。
「俺はその忠誠を疑わない。マツーノ六代目として、俺はおまえたちの信頼に応えることを誓おう」
その声は自分でも驚くほどに落ち着いた声音だった。内心の恐怖と重圧を、自分はうまく隠せたらしい。弟たちが顔を上げる。鏡写しに同じ顔の一つ一つをおそ松は見回した。
ほっとした顔をするチョロ松、緊張で顔が青いカラ松、無表情ながら安堵したような一松、明るい笑顔を向ける十四松に、満足げなトド松。
弟の次に、集まった人間を見回す。あっけに取られたような顔があれば、警戒するような顔がちらほら見える。幾人かは祝福の笑みを浮かべているが、大部分は値踏みの視線だった。
「俺がマツーノ六代目、おそ松だ」
その日が、おそ松の人生の一つの大きな転機だった。
・カラ松
地位:カポレジーム
肩書:「ピーニャ・アッズーロ」
使用武器:銃火器
マツーノの六つ子の次男であり、マツーノファミリーの遊撃の要を担うレジームのカポ。抗争では存分に力を発揮するが普段はそんなにやることがない。一応イヤミの喫茶店を一つ任されていて、暇つぶしにそこでバーテンをやっている。背中には崩れた十字架が彫られている。
銃火器マニアであり、かっこいいからという理由だけで片手でライフルをぶっ放したりする。対人格闘も得意だが、派手な銃火器が好み。五十口径のマグナムを片手で撃ったりする。一応スナイパーもできるが好みじゃない。RPGとかバズーカとか大好き。
本来口べたで、格好付けの言葉でないとなかなか話ができない。何を言おうか迷っているうちに話が進んでしまい口を挟めないまま終わることがある。一松のいじりも反応できないうちに終わってしまう。
先代のアッズーロから継承したシンボルはサファイアの埋め込まれた銀のピルケース。中身は、命と引き替えに痛みを消し、筋力を倍増し、自分の限界以上の力を出せる秘薬。アッズーロの使命は組織に害するものを洗い流すことであり、どんな手を使っても、最後まで戦い抜くことが誇り。
「次代のアッズーロ、見るがいい。これが我らの誇り、ファミリーの敵を洗い流し、最後まで戦う激流の誇りだ!」
先代はピルケースから青い一粒の丸薬を口に含んだ。その瞬間、カラ松は背筋にぞっとするような悪寒が走る。ガラスをかみ砕いているような音がして、先代がそれを飲み下す。皮膚に血管が浮き出るほどに心臓が酷使され、筋肉が膨張して一回りは体躯が大きくなる。そして、その目つきはぎらぎらと異常に輝き、カラ松をまっすぐに見据えていた。
「これが、フィウマーラの誇り」
カラ松は、我知らず陶酔した声音で先代の姿を目に焼き付けた。
「私の最後の相手がおまえであったことに感謝しよう。カラ松」
「アッズーロさん……!」
「……それを使うなよ、カラ松。まだだ。まだそれを使うには早い」
「俺たちが動くような事態は、ない方がいいんだろうが。だが……、一松の仕事が多くなってしまうのが、おれは……」
・チョロ松
地位:アンダーボス(ボス・デレガート)
肩書:「ピーニャ・ヴェルデ」
使用武器:特殊ブーツ・銃。
マツーノの六つ子の三男であり、人事や経営、運営、事業の連携、対外交渉を担うレジームのカポであり、アンダーボス。おそ松の右腕であるが、ふつうの構成員にはこっちの方が馴染みがある。
組織の中核をなすレジームであり、そのほかのレジームへの命令権限などをもつ。
先代のヴェルデから継承したシンボルはエメラルドのはめ込まれた仕込み万年筆。後ろ側に注射器が付いており、そのことはおそ松はしらない。
何に代えても‘ボス’を守る最後の一人となる使命を負っている。たとえ組織が壊滅したとしても。
この代はロッソがボスを兼任しているため、ピーニャの中での筆頭はチョロ松。兄弟を愛しているが、役割を果たさせてやることも間と思っている。そのため、万が一には、おそ松に見限られ、殺されることを覚悟の上で弟を切り捨てる覚悟ができている。しかし、本質的にめちゃくちゃあきらめが悪いので、最後の最後まで弟を救いにあがく。切り捨てるなら自分がいい。
ヴェルデは絶対にボスを裏切らない者を先代が選定する伝統のある唯一のピーニャ。先代は松造。
「チョロ松、いや、お前が次のヴェルデになるんだったな。改めていうのは気恥ずかしいが、この万年筆には二つ仕掛けがあるんだ。一つはふつうの万年筆。もう一つは、こっちが注射器になっている。ボスには教えてはいけない」
「母さんも知らないの?」
「ああ。母さんもこの万年筆の仕掛けだけは知らない。……もし知られたら別の方法を考えないといかんな」
「……そうか。そうやっておそ松を、ボスを守るんだね」
「ああそうだ。何に代えても、お前はボスを守らなきゃならん。……チョロ松、お前は家族を切り捨てる覚悟をしなきゃならん。ピーニャでもっとも酷な役目だがやってくれるな」
「うん。こんな役目、俺しかできないから。一松も十四松も優しすぎる。カラ松は、切り捨てたらあいつが死ぬ。トド松はできるかもしれないけど、もっと別なことが得意だし……そうだね、俺がいい」
「十四松、ボスを連れて今すぐここを離脱しろ。一松はボスにつけ。カラ松、トド松はここに残って足止めだ。――トド松、代われ」
「おい、おい待てよ何する気だチョロ松! トド松はこういう荒事にゃ向かないだろ。ってかみんなで逃げりゃいいじゃん!」
「足止め役は必要だ。松笠は松が残ってりゃまたできる。大本の松がおれたら組織の終わりなんだよ。だから、どうしてもお前には生き残ってもらうよ、おそ松兄さん」
・一松
地位:カポレジーム
肩書:「ピーニャ・ヴィオラ」
使用武器:暗器全般。銃、ナイフ
マツーノの六つ子の四男であり、暗殺や裏仕事、報復、拷問を担うレジームのカポ。おそ松がボスに就任することが内々に決定した時に、先代のヴィオラに弟子入りした。ピーニャの名を継いだのは六つ子のなかで一番早い。一度失敗した時に一周間の拷問と調教を受けたことがあり、それ以来重度のマゾヒストでありサディスト。まだ継承していなかったトド松の些細な間接的なミスからの事件だったので、この件はトド松に深い覚悟をさせた。
ヴィオラのレジームはボスですら全容を把握していない組織であり、実質チョロ松直属の監察方でもある。その組織形態からローゼオの組織とは仲がよく、先に手柄を奪うことになるアッズーロとは仲が悪い。
何もする事が無いときはニートをしている。カラ松の喫茶店に居座っていたりする。
先代のヴィオラから継承したシンボルはアメジストの小瓶。その中には即死かつ苦しみもなく死ねる毒が入っている。手を汚し泥を啜り誰に感謝されることなく組織を事前に守る使命を負っている。
「次代のヴィオラ。これは私の調合した“安らかな死”よ。万一のことが有ればこれを呷り死になさい。……最期くらいは安らかに死に赴ける、私からの最後の手向けよ」
「一松、一松無事か!」
「俺は、アッズーロの手柄を奪う役目だからね。ひひ、暴れられなくて残念だったなクソ松」
・十四松
地位:カポレジーム
肩書:「ピーニャ・ジャッロ」
使用武器:徒手空拳、ナイフ
マツーノの六つ子の五男であり、ボスの護衛、アカツカーナでの祭りの取り仕切りや、手伝い、色町の治安を守る、自治組織への参加を行うレジームのカポ。カポである十四松は、主にボスのおそ松の護衛をつとめる。おそ松直下の護衛部隊を組織している。
レジームの特性から、アッズーロとは表裏の関係で仲がいい。構成員が一番多いレジームでもある。
ある時、色町で出会った一人の少女を守り、恋に落ちた。しかし自分がギャングであることと、彼女に帰る故郷があることから泣く泣く別れた。彼女の幸せを願っている。
先代のジャッロを下して継承した。ジャッロの継承は必ず先代を殺すか、継承シンボルを奪うかして継承しなければならない伝統がある。
先代ジャッロから奪ったシンボルは、金の装飾のついた四十八口径のリボルバーの拳銃。これを人に撃てなければジャッロとは認められない。
もっとも表に近いレジームのカポだからこそ、自分が何なのかを見つめ直さなければならないという意味がある。ジャッロは組織を守る盾であり、己の身を省みずにその身さえ盾として使う使命を帯びている。
「笑っておくれ次代のジャッロ。お前が守るのはボスの体だけではない。その心も守らなければならない」
「十四松、お前が笑ってると俺ほっとするわ」
「この銃は撃たないための銃だ、十四松。トド松が、俺が、カラ松が、チョロ松兄さんがお前にこれを撃たせない。……だから、これを撃たなければならない時がきたら、お前が最後の砦。ボスを守るんだ」
・トド松
地位:カポレジーム
肩書:「ピーニャ・ローゼオ」
使用武器:銃、ナイフ。
マツーノの六つ子の末弟であり、金融、経営、情報など目に見えないものを統括するレジームのカポ。マツーノファミリーのレジームのなかではもっとも忙しいと言ってもいい。その性質から、一松のレジームとは仲がいい。アッズーロとも仲がいい。
ただしトド松本人としては一松という兄に負わせる負担と責任に押しつぶされそうになる。それを背負う覚悟はローゼオの名を継いだ時にした。仕事は基本どこでもできるので、普段は女の子と遊んだりカラ松の喫茶店でくつろいだりしている。
先代ローゼオから継承したシンボルは柄にローズクオーツのはめ込まれた小さな短剣。自分の頭の中の情報を他人に盗られるくらいならば死ねという意味と、目に見えぬものを扱う自分が忘れがちな死の実感を忘れないためのもの。手を汚すことなく外道をおこなう者に、安らかな死は訪れぬとの訓戒。同時にもっとも目立たないレジームのため、ボスの影武者をつとめる。
「次代のローゼオ。このナイフはお前に死を見せる。過去未来、このナイフが吸う血はローゼオの血のみだ。目に見えぬものを見続けて、本当のものを見失ったら、このナイフを思い出せ」
「僕の所為だ。僕が一松兄さんに渡した情報が、一松兄さんを殺しかけた!」
「トド松、お前はよくやってるよ。お疲れさん」「カラ松兄さんの馬ー鹿」
「おそ松兄さん、馬鹿だよねー。だいたい、僕ら六つ子だし。ちょっと代えればほらこの通り。ほら、俺の演技力もなかなか捨てたもんじゃねーだろ? カラ松よりも似てんじゃね?……ってね。十四松兄さんじゃないけど、僕にだってボスを守ることはできるんだよ」
・イヤミ
マツーノファミリーのコンシリアーレ。顧問。
・チビ太
マツーノファミリーと提携している情報屋。基本はおそ松たちのいきつけのおでん屋を経営している。イヤミの友人でもある。
・トト子
マツーノファミリーと提携しているアカツカーノの歓楽街の女ボス。おそ松たちの幼なじみでもある。
武器は銃。トド松とはよいビジネスパートナー。六つ子にそろって求婚されているが、夢はカタギの人間と幸せな家庭を築くこと。しかし六つ子の影響力や、権威は積極的に利用していく。
マツーノファミリーのボスの女と思われているが、既成事実はない。
マツーノファミリーの構成員数
ジャッロ・レジーム>ヴェルデ・レジーム>アッズーロ・レジーム>ローゼオ・レジーム>ヴィオラ・レジーム>>ロッソ・レジーム(構成員なし)