「なんだか今日元気ですね、ヘルメッポさん」
いつもの鍛錬を終え、心なしかウキウキとしてみえるヘルメッポさんに水を向ける。シャワーを浴びているヘルメッポさんはどうにも心当たりがなかったようだ。
「あ? 別にそんなこたァ……あ」
ふ、とヘルメッポさんがつぶやく。何か心当たりがあったのだろう。ひぇっ、ひぇっと引き攣るような独特な笑い声がシャワー室に響く。
「え?なんです?」
「いや、おれァ思いの外単純だったと思ってよ」
「えー?」
「お前わかんねェの?見聞色でさァ」
「もうコントロールできるようになりましたよ。それにヘルメッポさん隠そうとすると全然別のこと考えるから」
「お陰で見聞色への対策訓練、わりといい線行ったんだよなァ」
ヘルメッポさんはふんふんと鼻歌を歌いながらシャワー室から出てくる。そこでふとハッと思い出したようにニヤリと笑う。
「おまえは明日機嫌がいいよ。ついでに明後日はひばり中佐のテンションが高ェ」
「え? 未来視ですか?」
「ひぇっひぇっ!んなわけあるか、考えりゃあわかるよ。あー、腹減った!」
ヘルメッポさんはやっぱり機嫌が良さそうに本部の食堂へ向かう。
ぼくは彼に駆け寄りながら首を捻るばかりだった。
「ヘルメッポさ〜ん!お昼ご飯何にします?ぼくA定食にします!今日はぼくの好きな定食の日でしたァ!やったーー!」
「ひぇっひぇっひぇっ!!お前もおれも単純だなァ〜」
完