「斉木さんは、そっすねー。人間を嫌いになりたくないんでしょ?」
何を言っている。突然なんの話だ。
勝手に家に上がり込んで、延々と女の子の話をしたと思ったらいきなり何なんだ。僕のテレパスでも読めない話の転換だぞ。
燃堂じゃあるまいし、やめてくれ。
「そりゃそースよねー。斉木さんが人間を嫌いになったら、あっという間にそれ(指差したのは僕の制御装置 )、外して地球ごと壊しちゃうんじゃないスか?」
鳥束が話し出したのは、突拍子もない仮定論だった。
だが僕はそれに何も反論できなかった。
確かに、僕が本気を出せば一瞬で地球は消滅できる。僕は殺せんせーも真っ青の化け物だから。
嗚呼でもな、鳥束。僕は何度か賭けをしてるんだ。何もかも投げ出したくなったときとかにな。
「賭け?」
そう。“人間”は、今のところその賭けに勝っている。それがどういう意味か分かるだろう、鳥束。
この世界は、僕が“人間”相手の賭けに負けてるから存在してるに過ぎない。
知らなきゃよかったな?
明日にでも、近くの小惑星群から一つか二つ地球に落とすことも出来る。それだけで、地球は西瓜割りの西瓜みたいに真っ二つになるだろうよ。
僕は、棚の上に在った地球儀をサイコキネシスで二つに割った。安心しろ、あとで超能力で直しておく。
鳥束はそれを見て、真っ二つになった地球儀を手に取った。
「ねー、斉木さん」
(アンタだって、人間でしょーに、何でそんなに強がるんです)
テレパスを鳥束が送ってくる。
(馬鹿でしょ?そんなことしたくないから、人を嫌いになりたくないから人を遠ざけて、一人ぼっちになるの?)
違う。
(違わねえよ)
なんでお前に断言されなきゃいけないんだ。
「アンタには出来ないよそんなこと」
(だって優しすぎる)
お前に何がわかる?
(俺にとっちゃ生きてて触れて祟ってこないってだけで充分人間スよ)
それはお前だけだと思うぞ。
「ご両親とか、燃堂君とか海藤君とか照橋さんとか灰呂君とか、殺せる訳がない」
(化物ってのは大切なもんを作らないんだよ?)
そういえば、高校に入ってから賭けをしていない。それが、何故かなんて考えていなかった。
僕の驚きが何故か伝わったらしく、鳥束はくすくす笑った。ムカつく。
「それにきっとアンタは賭けに負け続けッスよ、死ぬまでね」
(死んでからも俺には見えるけど!)
うざい。煩い。
鳥束ごときに諭されるなんて、無性にムカついて仕方がない。
きっと一生の恥だ。
(ひでえ!これでも寺の子なのに!)
寺生まれはTさんだけで結構だ。
(まー真っ赤になった斉木さんも可愛いスよ)
うるさい黙れ。
終