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ミュージカル刀剣乱舞 坂龍飛濤 感想 

パスワードはばんりょの大千秋楽の数字四桁。つまり0511だね

ミュージカル刀剣乱舞 坂龍飛騰 感想

▼全体的に

まず、ものすごく良かった。
全員に役目と役割があり、物語を導く存在として、いわば”チェーホフの銃”だった。
「このキャラじゃなくても良いのでは?」という違和感もなく、全員に見せ場があり、キャラクターの扱いが最高だった。それぞれが「歴史を守る」という意味と意義、そして業(カルマ)を背負っていた。でも、それを一振りだけで背負いきれるわけがなく、だからこそ部隊で任務に出るんだな……と。

そして、もしパライソがマクロな地獄(3万7千人を死へ導く地獄)だとすれば、今回はミクロの地獄(ある二人を死へ導く地獄)だった。
どちらも比較するものではなく、心を持った者にとっては厳しく、耐えがたい任務だったと思う。
特に浦島君は、あの兄弟に寄り添ってしまった分、余計に辛かっただろうな……。

陸奥守吉行へのケアとフォローを通じて、歴史を守る苦しみや悲しみを全員で飲み込んでいく描写があり、「歴史を守ることは、その歴史を生きた命を大切にすること」という、江水で示されたテーマが理解されていたからこそ、ブレずに、動揺する刀も少なかった。
もちろん、表面に出さないだけで、腹の底ではぐちゃぐちゃになっていた刀も多かっただろうけれど。
全振りが「やらなきゃいけないこと」と「気持ち」を切り離して動ける刀たちだった……。だからこそ余計に辛かった。

▼ミュ本丸の陸奥守吉行

遠回しな自傷と、単騎周回で心が摩耗しきっている情に厚く、潔癖で、頑固で、優しい陸奥守吉行。
割り切るのが苦手な性格だけれど、やらざるを得ない状況になっているのかな、と感じた。

冒頭の近江屋では、きちんと三太刀で仕留めていて、歴史を守る道筋は守っている。
史実通りに動きながら、手口は洗練されていき、その張り詰めた様子が演出されていた。エグい。やめて。

おそらく時系列的には、初期刀(99.9%の確率で歌仙兼定と推測)が折れた直後くらいから、龍馬の任務を自分一振りで遂行するようになった印象。

考えられる理由は二つ:

  • 歌仙が誰かの元主に関係する任務で折れた → 自分以外を巻き込むことへの恐怖。延享年間で折れている可能性あり?
  • 戦力不足を補うため、陸奥守が得意とする龍馬関連任務を一手に引き受けた → 結果、摩耗し続けることに。

まだ考察途中なので、配信やライビュで変わるかも。
冒頭の「坂本先生はいらっしゃいますか」が、ラストシーンでは違うニュアンスになっていて、あれが陸奥守の声だったと気づいた瞬間、死んだ。
ずっと機械的に処理することで心を守ろうとしているようにしか見えなかった。
「ひとつ、ふたつ、みっつの唄」も、三太刀で仕留めるための労働唄に聞こえてきた。シーシャンティかな……社畜かな……。

責任感が強く、潔癖で、優しい刀が、しんどい任務をケアもなく続けてきたら、こうなっちゃうよな……。
知識や適性があっても、適材適所が正解とは限らない、そんなお手本のような話だった。

▼冒頭の陸奥守と肥前

おそらく初めて肥前忠広と龍馬関連任務に双騎で出陣したのだと思われるシーン。今回も陸奥守にとっては「作業」として処理している。陸奥守の頭では「作業」と考えて行動している。実際にはそう考えることで心を守っている遠回しな自傷行為。兼さんが苛立ちを隠さなかったように、肥前もまた苛立ちを隠さないのでこの二振りはよく似ているね……。

あえて軽く「わしがやるき」で、今までで一番スムーズかつ熟れた太刀筋で近江屋を終わらせる。陸奥守の思考としては、これはただの作業、任務でありこんな任務わしにとっちゃあなんちゃあないぜよ、と肥前にアピールしたかった為の必要以上にスムーズな任務だったと考えられる。

しかし、ミュージカル刀剣乱舞の陸奥守は肥前忠広にとても心を許していて、肥前忠広がそれを許容しているので、陸奥守の疲れ切った心と張り詰めた神経と傷つききってすり減った感情を的確に理解したのだと思う。(もしくはむすはじ冒頭はまだ取り繕う余裕があった)

そしてこれが陸奥守のできる精一杯のSOSだったようにも思う。そうでもなければ、ほとんど単騎で行っていた任務を肥前に同行させることはなかっただろう。肥前への信頼もあるのだと思うけど、肥前へのSOSだったんじゃないかなああああ。

むすはじを経て、「元の主への愛をまっすぐに叫ぶ刀たち」を側で見てすこし張り詰めた気持ちがほころんだのかもしれないな。そして肥前忠広はミュの陸奥守吉行をとてもよく見ているので、陸奥守がかなりヤバい状態であることを理解したんだろうと推察する。そしておそらく、なんなら文久土佐の特命調査の時点で「この本丸の陸奥守吉行大丈夫か?」になった可能性まであるかなと。(ものすごく陸奥守に甘い「兄やん」個体のミュ肥前君な理由をこんなところで理解しとう無かった※参考 真剣乱舞祭2022の前説、江水MC、祝九寿カテコ)

▼今回の公演の南海先生

おそらく肥前君と同じく文久土佐の特命調査で顕現していると推測。長義や天保江戸組二振りとも特命調査産だから、文土佐だけひねりはしないだろうと思う。本丸に改めて顕現した後あまり土佐組とは部隊が一緒にならなかったのかなという印象。天江戸組との接触が多かったのか?

陸奥守が専属任務についてて、肥前君がそれを気にかけている中で、二振りを気にしつつ踏み入りすぎずに練度あげしたような印象を受けた。あと、上級救命講習受けたのかな?とも。戦でちょっとテンションが上がって声がでかくなるタイプの先生良かった。戦だとパリッとした声になるよね。

・冒頭の本を読んでいる先生
→一番最初に駆け寄っていたことと、切羽詰まった声から一番最初の心肺蘇生は先生がやったんじゃないか。大慶くんはかけよってすぐに水筒を掴んでいるので、毒物を識別しようとしたのかな?

それで、心肺蘇生むなしく本物龍馬が死亡。死亡と判断して心肺蘇生をやめる→納得いかない肥前くんが引き継ぐ→止められずに本を呼んで残りの部隊を待つ。に至ったのかなと。

無駄な行為はしない先生と、無駄かもしれなくても可能性を信じてやめられない肥前くんという対比に見えて先生の情緒の未熟さが浮き彫りになる印象的なシーン。

でも、自分は無駄な行為はしないが、必死な肥前くんを止めることもできないところに坂本刀への情のようなものを感じたよ。おそらく陸奥守と肥前への情はものすごくあるタイプの先生。信頼しているし信用している。特に肥前くんに全幅の信頼を置いているのが冒頭の殺陣でわかる。

肥前くんが助太刀に来たところでまだ二三体遡行軍残っていながら「肥前くんが始末するな」で鞘に納めてるんですよねこの朝尊。とても肥前くんのことを信頼してるし、なんならちょっと甘えてる。肥前くんは朝尊のそういう不器用な甘えにはまったく気がついていないと思われる。それを表面化してないか、本人も気がついていないか判断できないが……先生は「己がヒトでないことに自覚的」な刀剣男士なので自覚して押さえている可能性もあるかな、と。

部隊から不満が噴出しそうになった瞬間に「隊長命令なら従うよ」と言ったり、陸奥守何あいつ……?みたいになりそうな瞬間に最初はそれ指示されてたの?って言ってたのに「西郷さん無事だといいね」とか「彼は元の主の散り際を見せてくれたよ」とかのフォローを即してる。陸奥守へのヘイトが生まれる前に潰してるイメージ。

肥前くんは今回はむしろ他のメンバーからは「分かる」って思われている方なので肥前へのフォローよりは、肥前を利用して陸奥守のフォローをさせている様子もあるかな。視野が広く、心理学的なことに興味ポイントを振っている気がする。刀剣男士として顕現した刀、歴史の中のヒトがどういう感情を得てどういう動きをする傾向があるのか。状況が変わればどうなるのか。

自分の情とサンプルへの好奇心が同居して矛盾してないんじゃないかな?

  • 先生の物部龍馬への暴露

こうしたらどうなるかな?という好奇心もあったとは思うけど、

「朝尊が教えたでしょ」→「聞かれたから答えただけ」
「しつこく聞かれたがやろ?」→「そうだね」

のところで、あからさまに視線がうろうろしてるような気がするんだよね。質問した相手を見ないで答えている印象。聞かれたから何も考えず答えたわけでもなく、しつこいから答えたわけでもないんじゃないかな。物部龍馬がどんどん本物龍馬に近づいていくことへ笹貫の言及もあったが、物部龍馬のパーソナリティを刺激したかったのかな?という気もする。彼が土佐生まれ土佐育ちの坂本龍馬じゃなくて、平泉の名を捨てた百姓の子の物部と名乗る男であることを突いてどうなるか知りたかったのかな?

▼分からなかったこと

時間遡行軍の目的。個人的に時間遡行軍は一枚岩ではないと思っているので、二つか三つくらいが入れ替わっていたのかなと推察。こちらがわ(刀剣男士側)は時間遡行軍の母体は見分けつかないのでいきなり目的が変わったように見えたのか?

  • 1 冒頭は坂本龍馬暗殺部隊? 佐幕派の母体から来ている?
  • 2 寺田屋まわりは坂本龍馬暗殺阻止? 生かしたい理由はいろいろあるだろうから目的は不明。
  • 3 小手先を弄して来たのは戊辰戦争阻止か西郷暗殺?

寺田屋でいきなり手のひら返ししたのが不明すぎて部隊が違ったのかと思ったという考察。何回か考えながら見たら理解できるかもしれないが……。先生の考察は結果を見て推測しているので本人も納得してなさそうだったのが印象的だったな。

舞台刀剣乱舞感想

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