燭台切光忠再現作(徳川ミュージアム収蔵)編
主の横にちょこんと座る、可愛らしい少年に光忠はふわりと相好を崩した。
「てわけで、うちでこの子を預かるよーになったがよ」
「燭台切光忠再現写し、茨城の徳川ミュージアムでお世話になってたんだ。みっ、短い間だけどよろしくお願いします」
その少年――光忠写しがぺこりと頭を下げると、つむじが揺れる。
この子のことは知っていた。あの震災で名高かった切れ味を失い、焼けた姿の自分の代わりにずっと隣で胸を張り続けていてくれた再現作を、光忠はずっと隣で見守っていたのだから。
少し緊張した様子の光忠写しに、光忠は大きく両手を広げた。
「久しぶりだね、僕の写しくん! こうして逢えるなんて思ってもみなかった!」
「本科くん……!」
写しは大きな金色の両目を潤ませて光忠の腕の中に飛び込んでくる。まだ若い、300年にも満たない付喪神の幼い身体を、光忠は力強く抱きしめた。
「会えて嬉しい、本当に嬉しいんだ」
「ぼく、ぼくもだよ! 君と話が出来る日が来るなんて思わなかった! ね、僕、君といっぱい話がしたいんだ! 君が刀剣男士として戦ってる姿を見たよ、すっごいかっこよかった! 僕の本科はなんて格好いいんだろうって、ずっと自慢したかった!」
スーツの肩口が濡れた気配がある。隣り合っていても、まだまだ付喪神として回復している途中だった光忠がこの写しと話をする機会は少なかった。
「会いたかったよ、本科くん……僕の本科……」
「うん。君の本科が格好いいってこと、ちゃんと覚えて児手柏くんたちに伝えてね」
つづかない