ハッチポッチパッチとサファイアの眸の男 - 1/4

鹿
夕日の中にじっと立っていた
彼は知っていた
小さな額が狙われているのを
けれども彼に
どうすることが出来ただろう
彼はすんなり立って
村の方を見ていた
生きる時間が黄金のように光る
彼の棲家である
大きな森を背景にして

──村野四郎『亡羊記』より