完 果ての朝
果ての朝ぱちんと目を開くと見慣れた部屋の天井と、自分を覗き込む主と施療院の大倶利伽羅が見えた。彼がいるということはそれほど時間は経っていないのだろうか。「……起きたか」 目の下に隈を作っている主が良かった良かったと騒いでいる傍らで、大倶利伽…
呪いの海路の果ては朝
七 海底/無力
彼の悪夢 和泉守兼定は自ずからそれを知っている。 刀の終わりの時代。滅びに向かうものとして生み出された我が身が、銃や大砲に劣るものであると知っている。 刀の終わりの時代。名剣名刀の中で己があまりに矮小な刀であることを知っている。 それくらい…
呪いの海路の果ては朝