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三日月ブルーの煩悶 下

#10──ああ、またみんなでトウソウジャー観たかったなあ。夏の映画も、みんなでさあ、映画館、借り切ってさァ。 腕の中で、息も絶え絶えに主は笑う。笑みの口の端から、命の欠片がだらだらと垂れて零れてゆく。 それを止めることは出来ない。「司令官あ…

三日月ブルーの煩悶 上

#0──なあ、三日月。みたかったなぁ── 青白く死相の張り付いた顔。折れ果てた刀の林の向こうで、ぽっかりと口を開けた異常な門。必死に抱えていても、もう三日月も腕の感覚が薄かった。ただ、暖かな主の命がどこまでも流れあふれている。──主……、ま…