七 海底/無力 彼の悪夢 和泉守兼定は自ずからそれを知っている。 刀の終わりの時代。滅びに向かうものとして生み出された我が身が、銃や大砲に劣るものであると知っている。 刀の終わりの時代。名剣名刀の中で己があまりに矮小な刀であることを知っている。 それくらい… 2022-06-17呪いの海路の果ては朝
ひとふり虎徹 中編 「おれを虎徹と間違えた?」 長曽祢に首根っこをつままれ、自らを金長と名乗った狸はふてくされた様子で長曽祢に頷く。「殿様の虎徹が外に居ったけん……、ほなけんどなんでまちがえたんかもう分からん」 狸はふてくされるが、さもありなん。「殿様の虎徹─… 2022-06-03ひとふり虎徹