一章 憑き物おとし うららかな昼下がりの帝都は人がごった返して賑わしい。赤煉瓦の東京駅の構内を抜けて八重洲の出口をくぐれば、帝都の高い空は澄み切って薄青に染まり、馬の肥ゆる季節の情緒を感じさせる。その空も、昔に比べれば随分と狭くなったと思う。空は高々と延びる建… 2022-05-30つきもの奉公